占星術関連情報

公開セミナー開催実績

JANet創立3周年記念特別セミナーのご報告

2004年9月19日、青山SIビル プレゼンテーションルームにて、JANet創立3周年記念特別セミナーを開催いたしました。セミナーには、英国バース・スパ大学大学院のCultural Astronomy and Astrology研究課程のパトリック・カリー博士をゲストにお迎えし、前半はウルアンナ鳳宮との対談、後半は大学院での博士ご自身のビジョンをレクチャー、大学院の専攻課程をご紹介いただきました。また、セミナー終了後は会場近くで懇親パーティも催行。 会場には星占いに興味のある一般のかたから占星術のエキスパート、プロの占星家のかたまで、多くのさまざまなお客様におこしいただき、本当にありがとうございました 。

セミナー概要

講演者プロフィール

会場風景・セミナーノート


【セミナー概要】

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●日時: 2004年 9月 19日(日) 午後2時30分開演
●会場: 青山SIビル(6F) プレゼンテーションルーム

Part I:

対談 パトリック・カリー博士 × ウルアンナ鳳宮
Astrology, Re-Enchantment of the World

 

内容/

パトリック・カリー博士にウルアンナ鳳宮がインタビューする対談形式で、博士の人柄やこれまでの占星学への取り組みをご紹介しながら、博士の提案される表題のテーマについてお考えをうかがっていきます。

Part II:

パトリック・カリー博士による特別講演
Perspectives on Astrology - MA in Cultural Astronomy and Astrology -

 

内容/

最先端の占星学研究の一翼を担うバース・スパ大学大学院のCultural Astronomy and Astrologyコース。その修士課程でカリー博士は、占星学研究の世界をどのように捉え、どんなアプローチで教育研究活動を実践されているのでしょうか。日本からはなかなか知る機会のない内容を、博士ご本人から聞くことのできる貴重なレクチャーです。

Plus:

バーススパ大学大学院コース等への質疑応答、関連書籍販売

いずれのセクションも通訳付き。


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【講演者プロフィール】

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Dr. Patrick Curry(ドクター パトリック カリー)

 
Dr. Patrick Curry

英国バース・スパ大学大学院The Sophia Centre(Centre for the Study of Cultural Astronomy and Astrology)助教授。占星学研究家。占星家。担当分野は科学史、思想史、さらに、哲学的/歴史的/人類学的/宗教研究的見地に基づく占星学と占術関連。著書に「Introducing Postmodernism」(共著、Totem Books)「Defending Middle-Earth - Tolkien: Myth and Modernity -」(Palgrave Macmillan)、「マキアヴェリ 知的常識シリーズ」(山川さら訳、心交社)など。Astrology and the Academy, Astrology, Science and Culture等監修論文誌・書籍多数。 バース・スパ大学の他、アムステルダム大学、ケント大学でも占星学関連の講義を行う。


ウルアンナ 鳳宮(うる あんな ほうきゅう)

 
ウルアンナ 鳳宮 ISAR(国際占星術研究調査会)会員。AAGB(英国占星学協会)会員。ISAR International Vice President for Japan.2001年9月、占星術eラーニング、各種講演会、セミナーの主催等、占星術教育の事業を通じて、占星術界への貢献を期し、株式会社ジャネットを設立、現在同社代表取締役。対面やメールによる個別の占い相談に応じるほか、占星術コンテンツの制作監修、雑誌等の占星術フォーキャスト記事の提供を行っている。
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【会場風景・セミナーノート】
青山SIビル プレゼンテーションルーム
青山SIビル プレゼンテーションルームにてセミナースタート。
熱心な来場者の皆様
→ 場内満席の中
対話は和やか
に進みました。

 

 

← 来場者の皆様
熱心なまなざしで
ノートをとるかたも。
ウルアンナ鳳宮が司会進行
カリー博士講義中
パトリック・カリー博士はEnchantmentをキーワードに占星術の豊かな世界観を語ります。

セミナーノート(PartI 対談部分):
ウルアンナ
鳳宮(U):
みなさん、こんにちは、ウルアンナ鳳宮です。今日は、ジャネット創立3周年記念の占星術特別セミナーにお集まりいただきまして本当にありがとうございます。
今日お集まりの皆さんの中には、ジャネットの教室に来てくださっている方々、 Eラーニングで占星術を学んでくださっている方もいらっしゃいますが、 占星術に興味をお持ちの方など、いろいろな目的で今日はたくさんお集まり いただいていると思います。先生ももう席に着かれていますが、最初に、少し 皆さんのお手元にお配りしました資料で、今日、初めてお会いする方もいらっしゃい ますので、ジャネットについて紹介させていただきます。私、ウルアンナ鳳宮、本名 近藤テ留ミと申します。お手元にありますジャネット・スクール・オブ・アストロロジーという占星術の教室を、少人数制の教室ですが、渋谷のほうで開いております。 全くの初心者の方から、プロの方まで通っていただいてまして、占星術を学んでみたい という人のためにいろいろな場を提供しております。また、インターネットを使いまして、 Eラーニングで、東京の教室に通うのが難しい方にも学んでいただけるようなコースも ご用意しております。
さて、ご案内している通り、今日はゲストスピーカーとして、英国バーススパ大学から、 パトリック・カリー博士をお迎えしております。皆さんの中には、占いというと 「今日の運勢は?」ということでテレビ番組の占いを気にしたりしている方もいらっしゃる かと思いますが、ほとんど迷信というか、科学的には実証されていないと考えるのが一般的で、 大学などと言っても本当に学術的なところで占星術が取り扱われているの?と、 不思議に思った方もいらっしゃると思います。長い間、何百年という間、確かに学術の 場からは姿を消していたわけですが、最近ではアメリカのケプラーカレッジという4年制の 大学、それからイギリスではバーススパ大学で、ポストグラジュエイトのコースなので大学院 のコースになりますが、MAの修士号とポストグラジュエイトのディプロマのコースもありまして、れっきとした一般の大学での科目の中で占星術が学べるようになりました。その最前線で授業をされている博士を今日はお迎えして、少しアカデミックな内容になるかもしれませんが、最初に、私からインタビューしながら、先生の魅力、あるいは、先生のご研究のフィールドなどをお聞きしたいと思います。そのあと、先生の「パースペクティブ・オブ・アストロロジー」、占星術の今後の見通しというテーマでお話をしていただく予定です。
では、さっそく、始めたいと思います。インタビューの中で、先生については少しずつ どんな研究をされていらっしゃるのか聴いていきたいと思いますが、パトリック・カリー 博士は、1951年、カナダ生まれですが、その後、イギリスのロンドンに移られまして、 もう30年以上経ちますので、多分イギリスのほうで生活している時間のほうが長くなって いるかと思います。現在は、先ほど紹介しましたバース・スパ大学の大学院で教えています。 歴史や文化、社会学など幅広い範囲で研究をされている方です。では、お迎えしましょう。
Ladies and gentlemen, Let us welcome today's guest speaker, Dr. Patrick Curry! Please give a great hand for him!
Dr. Patrick
Curry(P):
みなさん、こんにちは。Thank you for cming.
通訳(IP): 皆さん今日はようこそお越しくださいました。
  I have studied astrology for quite a long time, I have been interested in it for a long time, and studied it in many several different ways,
IP: 私は、長年に渡りこの占星術に興味を持っており、 いろいろな方面から勉強しました。
And I became interested in it, in what astrology has to offer, not just in terms of lucky and unlucky days, for example.
IP: そして、占星術が何を提供するかについても 興味を持ち始めたんです。ただこの日は運がいいとか、悪いとかそういうこと だけではなくてですね。
And not even just in terms of character analysis; what kind of a person am I in a general sort of way,
IP: あるいは、性格分析といった面、例えば、 私は一般的にどういった性格なのかしらとか、そういったことだけではなく、
but I began to realize that potentially astrology offers a way of speaking to you individually and personally in a spiritual way, but in a very personal, precise way that goes beyond either "lucky-unlucky days" or even "character".
IP: そして、だんだんわかってきたのですが、 占星術が、ただ単に今日はラッキーとかラッキーではないとか、そういった ことを越えて、非常にスピリチュアルな、魂のところ まで届くように個人的な対話のできる、そんな可能性を秘めているということがわかって きたのです。
U: それでは、今日は、今、もう始まっていますが、 通訳を担当してくださるのは、■■■■さんです。 どうぞよろしくお願いいたします。
実は、私は英語はあまり得意ではありませんが、皆さんに日本語で説明しながら質問だけ私のほうで英語でしまして、パトリックの回答を樺島さんが日本語へ通訳して皆さんにお知らせするというかたちで進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします 。

Thank you very much for coming today. I have been looking forward to talking with you. Today, I'd like to talk with you along the next two themes. Firstly, your astrology research fields, including some change, and also your personal magnetism. Secondly, your latest writings, "The Astrology, Science and Culture", and your ideas related to "Astrology and the Re-enchantment of the world", okay?
今、こんな話をしていきたいということで、カリー博士の魅力といっしょに今まで研究し てきたフィールド、少しずつ変わってきているのですが、そちらを質問したあと、最近この本を出版しましたので、この本に関連して、占星術とリエンチャントメント・オブ・ザ ワールドというテーマで少しお話をうかがいたいと思います。

では、最初の質問からいき たいと思います。 先ほど、ちょっとお話も出ましたが、長く占星術を学ばれているのですが、どんなきっかけで占星術の世界に入られたのか、それをお聞きしてみたいと思います。
You have been studying astrology historically and philosophically. I hear you came across astrology when you were in your teens. What made you be interested in astrology?
P: First, I was introduced to astrology my older sister who was an astrologer and still is.
IP: まず、最初に私に占星術を紹介してくれたのは姉だったのです。 当時も、今でもそうですが、占星術師です。
And I was very excited by it as a teenager because I thought maybe here I'd found a theory that explains everything and save me a lot of time.
IP: そして、そのとき、初めて知ったときに非常にわくわくしたんですね。 そのときに思 ったのは、これはすべてのことを解説して、そして、 かなり時間を節約してくれる理論ではないかと思ったからです。
The problem, off course, was that the more I studied it, the more complicated it became and in that way it became just as complicated as life itself.
IP: でも、そう簡単にはいきませんで、さらに勉強を進めていくと、 人生と同様に複雑になってくるということがわかったわけなんです。
U: とても若いときにお姉さんの影響を受けたそうですが、 その後、先生はカリフォルニア大学のほうで、心理学を専攻されました。 当時、私が思うには、心理学はある意味で占星術と共通点がありましたから そのあたりを質問してみたいと思います。
I hear you studied psychology in your University. Is the reason why you majored in psychology that it was thought the most related field of astrology somewhat at that time?
P: I had dropped out of academic studies for a quite a long time and I decided that I wanted to go back to the university. And I also wanted to continue studying astrology. So I decided to study or to do my first degree in psychology. Because I thought that was more supposedly related academic discipline.
IP:長年に渡って私はこのアカデミックな学術的な世界からちょっと離れていたのですが、 やはり、もう一度戻ろうと思ったわけなんです。そして、そのときまた もう一度占星術を学ぼうと思ったわけです。そして、そのとき、やはり心理学が 占星術を勉強するにあたって一番近い学問ではないかと思ったわけなんです。
I no longer think that is the case, but that is what I thought at that time.
IP:もちろん、今はそうではないとわかりましたが、当時はそんな風に思ってました。
U: 「そうではない」ということで、そのあと、もちろん心理学というのも確かにいい分野だとは思いますが、いろいろなことが変わっているようで、 修士号を日本語で言うと方法論の分野でとっています。このあたりのところもちょっと聴きたいのですが、その前に、当時のことで、非常に私が気になって いるのは、皆さんの中で「占星術、科学か迷信か(Astrology, Science or superstition)」 という本を読んだことがある方もいらっしゃるかと思いますが、 これはイギリスの心理学者が書いてまして、日本語訳しているのも心理学関係の人 なのですが、当時、18名のノーベル賞科学者を含む186人のサイエンティストが アメリカなどでニュースペーパーや雑誌でサンサインアストロロジーがばーっと はびこったのを懸念しまして、占星術なんかいんちきだから信じちゃいけないぞ というメッセージをみんなで出したんですね。それに対して、そんなことはないんだって いう人たちと、学者さんの中でも分かれました。白熱した議論が戦わされたのですが、一般には「スターベイビー事件」と呼ばれますが、「サイ・コップ」という科学者の 組織があるのですが、攻撃しようと思ってちょっとズルしたりしたのですね。 データをわざと占星術がいんちきだというみたいに…。それに対して内部告発とか いろいろありまして、非 常に白熱した議論が戦わされたんです。そのときに博士は、「マーズ・エフェクト」というミッシェル・ゴークラン、フランソワ・ゴークラン夫妻の リサーチに基づく、火星効果についての研究を出して、対抗した一人なんですね。 そのあたりも含めてお聞きしたいと思います。
After that you got a Master's degree in Logic and Scientific Method, right? Is that related to the arguments what we call "STARBABY"? You were against the Scientists (/CSICOP) by writing "the research of the Mars Effect" during the hot battle in 1982.
P: Yes. After studying psychology, I decided to learn more about science, so I started studying science for my master's degree and then finally history science for my P.H.D.
IP: そうですね。心理学を学んだあと、やはり、科学を学ぼうと思ったわけです。 したがって、修士号を自然科学原理ということで取得しようと思ったわけです。
But I continue studying the ***statistics in relation to astrology.
IP: しかし、この学問、自然科学原理の学問を占星術にからんで勉強し続けました。
Scientists by far, the majority of scientists have been very critical of astrology, but there were some evidence produced of what was called Planetary Effects by Michel Gauquelin.
IP: しかし、科学者の中には、かなり多くの人たちが占星術を批判してきました。 しかしながら、その中には占星術を立証するものもあったんですね。 フランスの学者ですが、ミッシェルゴークランの「プラネタリーエフェクト」と いう本も出されています。
And he was, his work and he personally were attacked, I thought, quite unfairly by group of scientists called CSICOP, which stands for committee for the scientific investigation of claims of the paranormal.
IP: 彼の書いた学術的な作品ですが、このサイコップという科学者のグループに 不当にも批判されました。このサイコップの略ですが、 「コミッティ・フォー・サイエンティフィック・インベスティゲーション・オブ・ クレーム・オブ・パラノーマル」という団体です 。
But the clue to what they are really about is the name Psy-cop, psy as in spirit and cop as in policeman.
IP: サイコップという名前に注目していただきたいのですが、 サイというのはスピリットとか魂と思われますが、コップとは警察ですね。
So their job is to police spiritual claims and if possible put them in jail.
IP: したがって、彼らの役割というのは、スピリチュアルな意味で不当な主張が あった場合、まあ彼らにとって不当な主張があった場合、これを警察の役割として 取り締まる、もし可能であれば刑務所に入れるというそういう役割だったのです。
So I got involved in this dispute on Gauquelin's side and was quite active in that for a while.
IP: したがって、私はこの白熱した議論にかなり関与しました。 そして、私はもちろんこの著書を書いた学者の側に立って長い間議論に関与していました。
U: 今、説明がありましたが、その後、ちょっと方向性が変わっていったようですね。 この事件の経過、そのあたりを説明してもらいたいと思います。
Did your attitude or thought toward Science change somewhat during or after that?
P: Yes. And then attitude to science started to change the more I became familiar with it. For one thing, I realized that science depends a lot on assumptions that are themselves not scientific.
IP: そうですね。私の科学に対する姿勢は確かに変わっていきました。 科学を知れば知るほど、科学というのはあまり科学的でない仮説に基づいて、 依存しているということがわかってきたのです。
So, ultimately there is no certainty in science.
IP: ということは、科学には絶対的な確証はないのです。
But the whole point of doing scientific testing of astrology was that you are using certain knowledge to test the ideas that are apparently not certain. But this didn't make sense any more.
IP: でも、科学の目的というのは、確固たるものに基づいて占星術をテストする、 実験するということなのですが、そもそも確証的でないものに基づいてやることで、 まったく意味のないものになってしまったというわけなんです。
Secondly, I began to ask myself why science should be the ultimate authority on what is true for us and what is not.
IP: 次に私は自分に自問し始めました。なぜ、科学が私たちにとって何が真理で、 真理ではないか、そういうものを決定づける権威でなくてはならないのかということです。
And my attitude to astrology was changed slightly at the same time I began to think maybe astrology is more...a way of... thinking a way of living rather than theory.
IP: そして、同時に私の占星術に対する姿勢も少し変わりました。 もしかしたら、占星術というのは理論ということではなく、生き方の中の 考え方ではないかと思い始めたのです。
U: このあたりでかなり大きな変化があって、その後の研究分野がずいぶん 変わってきて今に続いてきているのだろうと思いますが、博士号はヒストリーで とっています。その点をちょっと確認してみます。
The direction of your research headed for History and Philosophy of Science, then you got your Doctorate degree in that field, right?
P: Un hun.
U: このあたりのところを、ちょっと日本語で説明したいと思います。 この「Prophecy and Power」という、こちらの本ですが、ちょっと難しい本で、 私も全部は理解しているとは言えませんが、読みました。それで、 どんなことが書いてあるかというと、「Astrology in early modern England」ということで、 だいたい1600年代の後半ぐらいから1800年、17世紀から19世紀になるちょっと手前までですね、 ぐらいまでの社会学といいますか、文化社会学、歴史だけでなく民俗学も含めた幅広い リサーチになっています。その中で、端的に言うと、日本なんかでよく迷信などと言われますが、 日本でも私たちはいまだに結婚式には、大安に結婚式を開いたりだとか、 お葬式は仏滅とかというのに暦とかを見ますよね。それと同じようなものが西洋では アルマナックと呼ばれる暦ですが、そういったものが実は聖書よりも、あるいは聖書と 同じくらいみんなに浸透していた、購入されていたというような事実ですとか調査されています。 これを比較するとおもしろいのが、残念ながらこれは日本語では出ていないのですが、 みなさんも占星術関連で勉強をしている人がいるかもしれませんが、キース・トーマスさんの 「レリジョン アンド デクライン オブ マジック」という本がありまして、 これは「宗教と魔術の衰退」として日本語版が上下2冊出ています。 こちらを見ますと、これが一般的な科学者というか学会、学者さんなんかが認めた意見で、 コペルニクス革命、科学革命後にこうした占星術も含めていろいろな迷信みたいなものが どんどん衰退していったということが主流の意見です。もちろんそれは表向きの意見なのですが、 実は例えば都市部のロンドンとかでは、非常に科学技術が発達して都市化が進んでいくのですが、 多くの大部分のイングランドのいろんな地方とか片田舎など、そういうところには、 ずっとそうじゃない伝統が浸透していたというようなことが詳しく調査されてありますので、 興味を持たれた方は是非お読みになるとよいのではないかと思います。 私の説明が長くなって、みなさんも先生の話を聞きたいでしょう。 こういうヒストリーでアストロロジーだけではなくて、非常に幅広い分野の社会学、 文化社会学の研究をされています。また、私は読んでいないのですが、 マキャベリの研究などもされてますし、それから、こちらですね、 「ディフェンディング ミドル アース トルキーン ミス アンド モダニティ」という、 こちらもパトリックカリー博士が書かれた本です。みなさんトルキーンというと ちょっとわからないかもしれませんけど、「ロード・オブ・ザ・リング」ですか 「指輪物語」の作者です。本として出版されたのは、多分私が生まれた頃、 1955年ごろに書かれたのだと思いますが、その後、ミリオンセラーでなくて ビリオンセラーですね、というぐらい世界で読まれている本です。 そういったところの研究の中で、非常に先生独自の視点から詳しい物語、 トルキーンの考え方、時代背景、そういったものを書かれていますので、 こちらも興味をもった方はお読みになっていただければよいと思います。 先生の研究はとても幅広いので、指輪物語は持ってきてはいなかったのですが、 イギリスは、いろんなフェアリーテール、おとぎ話とかファンタジーとか そういうもので楽しませていただいていますが、数か月前ですが、 ここにジャネットの占星術教室も紹介されていますが、 みなさんもハリー・ポッターは映画や本などで読んでいる方も多いかと思います。 こちらに関しては詳しくはないかもしれませんが、専門的に研究されている方から見て、 イギリスから生まれている、また、この時代にこういったものが爆発的にはやっている、 ことに対してどんな考えを持っているのかお聞きしてみたいと思います。
You are quite familiar with the History of astrology in early modern England. What do you think about the "Harry Potter" which was produced in UK and has achieved great popularity among people all over the world in recent years? In short, what do you think about this phenomenon as a researcher in related fields?
P: Yes. So I studied the history of astrology in England, which was what that book was about, and in particular I studied the period of time which was the second half of the seventeenth century when quite a few people and a lot of important people stopped practicing astrology or stopped believing in astrology.
IP: そして、私は占星術の歴史を学んだのですが、その本にまさに その内容が書いてあるのですが、そして、とくに17世紀の後半のその時期について 私は興味を持って勉強したのですが、この時期多くの人々が占星術を使わなくなってしまった、 信じることもやめてしまった時期でもあったんです。
And this period has been studied, for example, by Keith Thomas, you know? But his question was, of this period, why did all the intelligent people believe in astrology.
IP: この時期に関しては、キース・トーマスなどが研究をしています。 しかし、彼が投げかけた質問というのは、なぜ多くの知識人がそもそも占星術を 信じたのかというような切り口だったんです。
I suggested this was wrong question to ask because at this point everybody believed in astrology more or less. So the question really to ask was why did certain people stop believing in astrology.
IP: でも、私自身はこの質問自体が間違っていると思うのです。 なぜかというとこの時期というのはほとんどの人が占星術を信じていたからです。 なので、投げかけるとすれば、なぜこの特定の人々が占星術を信じなくなったのか という風に問うべきでしょう。
And the answer to that question, as it turned out, was bound up with religion and social change and politics, a great deal.
IP: それに対する答えですが、かなりいろいろなことが関連していますが、 宗教、社会的 な変化、そして政治が大きく関連しています。
A little later, I decided to write a book about JR token and the lord of the ring which I always loved, and I was struck by the fact that a lot of the same people, main stream professional, intellectual people, who hated astrology also hated the lord of the ring.
IP: そして、その後私はトークンと「ロードオブザリング」について書いたのですが、 それを書く中でひとつの事実に直面してびっくりしました。なぜかというと、 多くの主流の知識人、占星術を嫌った知識人は、ロードオブザリングも嫌ったのです。
So I began to wander if there was some way of experiencing a world or that some way of living that astrology offers also that the lord of the ring offers the readers that is a big problem for these people.
IP: なので、そのときに思ったのですが、この世界の中で体験するにあたって、 占星術を提供するにあたっても同様なのですが、ロードオブザリングが読者に提供するもの、 それがこの知識人の多くにとって何かが問題だったのではないかと思ったのです。
And I think one way of describing that way of experiencing a world or being in a world is that the world is enchanted.
IP: そして、ロードオブザリングや占星術が世界を表現するひとつの表現として 「エンチャンテドだった」、魔法にかけられたという言い方ができると思うのです。
And for people who want to understand the world completely, in order to be able to ultimately control the world completely, enchantment is a big problem. It's an enemy actually.
IP: そして、世界を完全にコントロールしたい、支配したいと思う人にとっては、 確かにこのエンチャントメントされた世界というのは、エンチャントメント自体が 敵になってしまうのです。
But at the same time, many people feel deprived of enchantment, they feel there is no magic in their lives, or there is no magic in the world, they are starving for it actually.
IP: しかし、また、同時に多くの人が自分の住む世界の中で魔法がそもそも 奪われてしまったと感じている人もいるわけです。そして、魔法を、 マジックを求める人もいるわけです。
And I think the books like the lord of the ring which after all has, I forget how many millions of readers, and now Harry Potter also has millions and millions. I think one of the reasons for their success is that they offer vicarious or second hand, indirect way of experiencing a world is enchanted again.
IP: そして、このロードオブザリングは何億人の読者がいるかわかりませんが、 そのあとハリーポッターも出ました。この2つの本がなぜこんなに売れて、 なぜこんなに成功したかというと、この2つの本が間接的に、副次的に エンチャントメントの体験を提供しているのではないかと思うのです。
U: 今日のタイトルにも使われているエンチャントメントという言葉は、 日本語に訳すのが非常に難しくて、日本語だとマジックとかエンチャントメントとかを 同じような言葉、よくある魔法とか、魅惑的なとかもおんなじような意味があるんですね。 ただ、今の説明を聞いて、たぶん、ちょっとした、微妙な差異といいますか、違いがあって、 それをちゃんと英語のほうでは使い分けているんですね。日本語に訳しちゃうと なかなか伝わりにくいのですが、そういうところがあるのがお分かりいただけたかなという風に 思っています。
それでは、時間も残り少なくなってきたので、パッとやりますが、最近、 「アストロロジ ー、サイエンス、カルチャー」というロイ・ウィルズさんとの共著で、 出された本があります。こちらの本もできればみなさん買って読んでいただけたらと思いますが、 今のお話とか、それ以上たくさんいろんなことが書かれています。この本の中から ちょっとだけお聞きしてみたいと思います。私は、先生がギリシャ神話のメティスと 占星術に関連して書いているところがありますので、そのところに興味をもちましたので、 ちょっとお尋ねしたいと思います。
I read the part written about your Metis very interestingly in this book. Could you show us your ideas about it here a little?
P: In Western philosophy, and Western culture generally now practiced more widely very basic idea comes from Plato that the truth, real truth is universal; it's true everywhere and abstract like mathematics.
IP: そして、この西洋の考え方というのは、文化的にもそうですし、 思考の方向もそうなのですが、基本的にはプラトンの考えがベースにあります。 つまり、真理というのは普遍 的でもあると同時に数学のように抽象的でもある、 そういう考え方です。
So Plato argued that anything else, any kind of truth, more than say truth that are not always true or everywhere true or that conflicted each other or something inferior maybe more like opinion.
IP: したがって、このプラトンの考えというのは、真理以外のもの、何か対立するもの、 そういったものというのは劣っているという考えなんです。
Then Aristotle suggested well maybe there is one other category that we need, and that is skills, particular skills like cooking or sailing or whatever. That's a kind of knowledge although it is not as good as abstract truth.
IP: また、そのあとにアリストテレスが出てきます。彼は、やはりそれ以外の何か分野、 カテゴリーが必要だといいました。それは何かというと、例えば、料理とかそういうような 何か技術が必要ではないかということです。もちろん、抽象論とは違った知識には なりますが。
But recently, scholars had suggested there is a third kind of knowing which they call Metis.
IP: しかし、最近になって学者たちは、また、もう一つ、3つめの考え方があるだろう、 それが「メティス」ということなんです。
Metis translates as cunning wisdom.
IP: このメティスの意味ですが、ずるがしこい知恵という意味です。
It's named after Greek goddess who was actually Zeus's first wife and who advised him and gave him counsel.
IP: このメティスという名前ですが、ギリシャ神話の神の名前から付けています。 それは、ゼウスの最初の妻となった人で、実際にゼウスにいろいろなアドバイスを 与えていた女神でした。
But she was so wise that Zeus became worried and typically reacted by eating, or gulping her up.
IP: しかし、あまりにもメティスが賢いためゼウスが不安になってしまい、 最終的には彼女を飲み込んでしまったのです。
Their child born out of Zeus's head was Athena.
IP: そして、2人の間に生まれた子ども、実際、ゼウスの頭から出てきたのですが、 これがアテナでした。
And Athena was the goddess who was the patron and guardian somebody who is the very good example in the west of Metis or Metic intelligence and that was Oddeseus.
IP: アテナはメティス的な考え方をもつ人たちの非常によいガーディアンそして、 パトロンだったのです。そして、それがオデュッセウスだったのです。
But the same scholar has suggested that Metis is actually universal human characteristic and that it has exact correspondences in other cultures. For example, in Chinese culture, I think it is ZHI. Chinese and not Japanese.
IP: しかし、同じ学者は、メティスというものは普遍的に人間の中に特徴づけられている 一つの特徴ではないか、という風にいいました。そして、その一つの象徴的な例が、 (対訳がないのですが)中国語のZHIと呼ばれるものだそうです。
And in eastern popular culture, Metic figure would be a monkey.
IP: 一般的な東洋的な考え方では、メティス像はサルにより表されると思います。
And at a sort of more elite level in the east, Metis would correspond very closely with the Buddhist idea of Upaya, or skillful means.
IP: また、東洋の高度なレベル(エリートレベルと言っておりましたが)における メティスの考え方は、仏教のウパヤという考え方にも通じます。これは、 スキルフルミーンズといいましたが。
So my intuition was that astrology secretly, as it were, has more in common with this way of thinking and this kind of knowledge than it does with pure truth or even just skill.
] IP: なので、私の個人的な考えでは、このメティスというのは密かに、占星術は このメティスに共通しているのではないかと思うのです。ただの純粋な真理とか、 一つの技術というよりも、メティスに共通しているのではないかと思いました。
U: まだまだ聴きたいことはあるのですが、時間もだいぶ 過ぎてちょっとしか残りがなくなってしまいました。 最後の質問で締めくくっていきたいと思います。 ほんとに簡単なさわりだったのですが、今のお話意外とおもしろいというか、 興味をもてる部分があったと思います。また、そのほかも総合して最後に入っていきたい と思います。私は先生の全体的な、この本を読んだりお話を聴いたりした感想を まとめて共感する部分があるので、そのあたりをちょっと聴いていきたいと思います。
I don't think I have enough information of your research. However, as I have read some books which you wrote and attended your lectures, I feel you constantly have something like "ecological philosophy". In a sense, ecological thoughts and Buddhism have something in common. As Buddhism way of thinking is spread into our lives, your idea was very encouraging and meaningful.
P: I am just to brief, there is a thread of ecology or nature running through all this.
IP: 手短に説明しますが、確かに、エコロジーや自然が流れているのは事実です。
I think enchantment or experience of enchantment is something that happens when you ask the stars for advise and you get an answer that is very specific to your question and you.
IP: 私は、エンチャントメントの体験は、一つの象徴される例は、 星に何か具体的な質問を投げかけアドバイスを求めます。そして、 実際具体的なその質問にほんとに合った答えが返ってくるということだと思います。
I think this phenomenon goes back to nature in a way that we don't really understand. Or ever that we used to understand very well but have forgotten.
IP: この現象というのは私たちがあまりよく理解できない自然の現象だと思うのですが、 もちろん、昔は私たちはよくわかっていた理解していたものでもあります。
And in that kind of world that we have forgotten but, I think, still exist.
IP: しかし、私たちは忘れてしまったかもしれませんが、実際は存在すると思います。
We are part of nature, the stars are part of nature, and this is a nature that is physical and biological but also spiritual.
IP: 私たちもこの自然の一部でありますし、星も自然の一部であります。 この自然というのは物理的でもあるし、生物学的でもあるし、そして、また、 スピリチュアルでもあるのです。
Perhaps in the way very ignorant of this, but perhaps in a sense of Kami, in a sense of gods being everywhere.
IP: もしかしたら私は分野としてはあまり知識はないのですが、もしかしたら神の存在、 神はどこにでもいるということと同じなのかもしれません。
In that case you can have a dialog, you can have a relationship with the stars among other, many other kinds of spirit.
IP: そのような状況ですと、星やそれ以外のスピリチュアルなものに対して、 こうやってちょうど星に対しても対話とかつながりをもつことができるわけです。
But I will try and talk a little bit more about this resource of ideas in the second part today.
IP: このことに関しては、2部において詳しくお話できるかと思います。
U: ほんとにもう時間が来てしまいました。
We want to talk more but I am afraid that the time is running out. Finally do you have any advice to audience?
P: No. I won't offer general advise but I would be very happy with any questions. Maybe not now but after... Any questions will be good.
IP: 今は一般的なアドバイスはお話しませんが、後ほど皆さんもしご質問があれば受けた いと思います。
U: ほんとにあわただしく説明してきましたが、博士の魅力を少しは皆さんに お伝えできたかなと思います。 10分ほど休憩をとりまして、この後、バース・スパ大学や占星術に関係して神話やディビネーションといった スタイルなどを説明していただきながら、後半、先生のスピーチ、講演を聴きたいと思います。 みなさんありがとうございました、先生もありがとうございました。
 
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