デビッド・コクラン(David Cochrane) マイナーアスペクトと近代のトレンド

  ■マイナーアスペクトと近代のトレンド

David Cochrane

 もし、あなたが占星術師であれば、海王星と冥王星のセクスタイルのアスペクトを頻繁に見かけるでしょう。もし、あなたが50年代、70年代、80年代に生まれていたのであれば、海王星と冥王星はセクスタイルのアスペクトになっているでしょう。海王星と冥王星は何十年もの間セクスタイルでい続けています。

 もし私たちが1度というとても小さなオーブを利用したとすれば、海王星と冥王星は59度から61度離れているときにセクスタイルと考えられます。これは、1950年から1960年に起こり、その後、1971年から1986年の間に再度起こっています。セクスタイルのアスペクトは、2つの天体がトラインアスペクトと似たようなスムーズで調和するかたちでの相互関係をもつ要因になるので、このセクスタイルアスペクトを私たちの理想(海王星)をスムーズで調和的に達成する内面の衝動や強迫観念(冥王星)を創り出すものとして解釈することができるでしょう。興味深いことに、1度という小さなオーブを利用すると、海王星と冥王星はそれほど心地のよいセクスタイルのアスペクトにはなりません。60年代は野生的で熱狂的な活動の時代でした。アメリカでは、60年代には民族運動や戦争抗議運動、ヒッピー運動などがあり、それらは70年代が始まると静まっていきました。これは、また、海王星と冥王星がセクスタイルアスペクトに戻った時期でもあります。これは単なる偶然でしょうか。私はそうは思いません。

 占星術家の中には、メジャーアスペクト、つまり、コンジャンクション、オポジション、スクエア、トライン、セクスタイルしか利用しない人もいます。ほとんどの占星術家はセミセクスタイル(30度)とクインカンクス(150度)も解釈します。中には、セミスクエア(45度)やセスキコードレート(135度)も解釈する占星術家もいます。また、さらに付加的なアスペクトを解釈する占星術家もいますが、これらは、一般的にマイナーアスペクトと呼ばれています。私はこのような付加的なアスペクトを利用する占星術家のひとりです。これらのアスペクトを利用する理論は、イギリスの占星術家ジョン・アディーによって開発されました。アディーのハーモニクスの理論を利用すると、私たちはアスペクトを円の分割として認識することができます。例えば、トラインアスペクトは単純に1/3アスペクト、そして、スクエアは1/4アスペクトとして認識することができます。ハーモニック理論に従えば、分割の分母が大きくなればなるほど小さなオーブを利用する必要があります。

 1960年代の間には海王星と冥王星は2/11のアスペクトでした。2/11アスペクトとは何でしょうか。これは、単に円の2/11つまり65.45度のことを表わします。海王星と冥王星の角度が64.45度まで増加したときに、2/11アスペクトのオーブ1度以内に入り、角度が64.45〜66.45度の間にあるときには2つの天体は2/11アスペクトになっていると考えられます。これは、1962〜1968年の間、動乱の60年代の時期に起こりました。


 では、2/11アスペクトにはどんな意味があるでしょうか。このアスペクトを利用する占星術家は少ないので、その意味に関しては情報があまりありません。私はマイナーアスペクトを30年以上利用していますが、分母に11をもつアスペクトはどれもとても不安定で、変わっていて、短気で、反抗的であると考えています。したがって、1960年代は理想を達成しようという内面の衝動や強迫観念は不安定で、変わっていて、短気で、反抗的だったといえるでしょう。

 私の意見では、「マイナーアスペクト」という用語は、ネーミングミスだと考えています。つまり、マイナーアスペクトはとても重要だからです。分割の分母は、しばしば「ハーモニック」と呼ばれます。下は、1900年から2040年までの海王星と冥王星の第13ハーモニックまてでのすべてのアスペクトがオーブ1度以内で起きている時期のリストです。

1900年から2040年の海王星と冥王星のアスペクト(第13ハーモニックまで、オーブ1度)
  1913 - 1916 1/13  
  1918 - 1918 セミセクスタイル  
  1919 - 1920 1/11  
  1920 - 1924 1/10  
  1925 - 1928 1/9  
  1930 - 1933 セミスクエア  
  1937 - 1940 1/7  
  1941 - 1948 2/13  
  1950 - 1960 セクスタイル  
  1962 - 1968 2/11  
  1971 - 1986 セクスタイル  
  1988 - 1999 2/13  
  2001 - 2011 1/7  
  2011 - 2023 2/13  
  2034 - 2039 2/11  

 第9ハーモニックのアスペクトは、心地好い、癒し、統合化する影響を与えます。第7ハーモニックのアスペクトは自己コントロールや自己管理、古代の遺産を愛する傾向、静かで、反省的で、内面の神秘的な性質を表わします。第11ハーモニックのアスペクトは、不安定で短気です。第13ハーモニックのアスペクトは拡大と支配に関係しています。トラインやセクスタイルアスペクトは、もちろん、調和的で心地好い特徴を持っています。コンジャンクション、オポジション、スクエア、セミスクエア、セスキコードレートアスペクトは、ダイナミックで、エネルギーをもたらし、挑戦的な特徴を持っています。

 上の表では、第一次世界大戦や第二次世界大戦の後半、そして、1988〜1999年の間が拡大的で支配的な特徴のある第13ハーモニックアスペクトの影響があった期間であることを示しています。これらは、人々が理想を達成するために意欲的に危険を冒し、警告を風に飛ばす傾向のある時期でしょう。

 1937〜1940年に起きた海王星と冥王星の1/7のアスペクトは、一見驚きを伴うものであるかもしれません。第二次世界大戦が始まると、世界はその理想を内面化し、自己コントロールをしたかたちで獲得しようと努力したでしょうか。そのようには見えませんが、興味深いことは、アドルフ・ヒトラーは、古代のシンボルに対する捻じ曲がって病的なかたちの興味と、古代から受け継がれた文化的な影響を「浄化」したい欲望によって動機づけされていました。あきらかに、これは海王星と冥王星の1/7アスペクトの極端にネガティブな表現でしょう。一般的に言えば、西洋の国々は第7ハーモニックの影響をあまりよく理解し評価しない傾向があります。とくに、アメリカは人生でよりカタチのある外面的な成果に焦点を合わせ、芸術や科学などにおいて、思慮深く内面化し、自己管理され、静かな発展というよりは、ロックンロール的で動きのあるものを輸出しています。現在の時期、つまり、2001〜2011年は私たちはもうひとつの海王星と冥王星の1/7アスペクトの時期にさしかかっています。これは、伝統的で瞑想的な興味が起こってくる可能性の強い時期です。この記事を書いている最中である2004年の1月には、映画「ラストサムライ」がアメリカで上映され、この大ヒットの映画は第7ハーモニックの高い性質を反映しています。イラク戦争も、また、伝統的な古代の文化に焦点をもたらしています。テロリズムに対する戦争が中東の文化に対する戦争にならないように気をつけることはとても重要なことでしょう。実際、この時期は伝統的な文化や古代の知恵が繁栄する時期であり、アジアや中東のすべての地域からのエスニックスタイルが繁栄する時期です。しかし、残念なことに、この発展は本来よりもゆっくり微妙なかたちで進んでいます。アメリカから発せられるロックンロールのビートの大きな音量はなかなか静かにならないのです。しかし、21世紀の最初の10年の中で少しずつ柔らかくはなっているようです。ところで、私はアメリカ人であり自分の国を愛しています。しかし、すべての国は、すべての人々と同じように、強い側面と弱い側面を持っています。

 私たちは、その他の外惑星の間のアスペクトパターン、例えば、天王星と冥王星や天王星と海王星から世界のトレンドに関して追加的な洞察を得ることができるでしょう。しかし、天王星は海王星や冥王星よりだいぶ早く動いています。その結果、天王星のアスペクトは海王星と冥王星の間のアスペクトと同じほどには長く続きません。大衆一般の方向性やムードを決めるのにもっとも強力に影響するのは海王星と冥王星の間のアスペクトです。

 天王星の海王星や冥王星に対するアスペクトを分析するときには、分析を低いハーモニックまでもとめることは理にかなっています。高いハーモニックのオーブは小さく、素早く動く天王星はこれらの高いハーモニックアスペクトを長くてもほんの数ヶ月で通過してしまい、これは国全体のムードを決めるには十分な長さではありません。これを心にとめながら、私は天王星と冥王星の1900〜2040までの第9ハーモニックまでのオーブ1度以内のアスペクトが形成される時期をリストしました。

1900年から2040年までの天王星と冥王星のアスペクト(第9ハーモニックまで、オーブ1度)
  1901 - 1902 オポジション   1954 - 1955 セミセクスタイ
  1907 - 1910 4/9   1965 - 1966 コンジャンクション
  1909 - 1911 3/7   1978 - 1979 セミセクスタイル
  1911 - 1912 クインカンクス   1983 - 1985 1/9
  1913 - 1914 2/5   1986 - 1988 セミスクエア
  1916 - 1917 セスキコードレート   1989 - 1992 1/7
  1921 - 1922 トライン   1994 - 1997 セクスタイル
  1927 - 1929 2/7   2002 - 2005 1/5
  1931 - 1934 スクエア   2006 - 2010 2/9
  1935 - 1937 2/9   2012 - 2015 スクエア
  1938 - 1941 1/5   2018 - 2022 2/9
  1943 - 1945 セクスタイル   2025 - 2029 トライン
  1946 - 1948 1/7   2031 - 3034 セスキコードレート
  1948 - 1950 セミスクエア   2034 - 2037 2/5
  1950 - 1952 1/9      

 天王星と冥王星のアスペクトは数年しか続かないので、海王星と冥王星のアスペクトによりつくられる基本的なテーマを変化させる付加的な「アクセント」をつくります。天王星と冥王星のアスペクトは、突然で自発的な(天王星)内面の衝動や強迫観念(冥王星)を表わします。これらの2つの天体のアスペクトは、自発性や爆発的なエネルギーがどのように表現されるかということを決めます。これらの2つの天体が第5、第11、第13ハーモニックのアスペクト、あるいは、ハードアスペクトになっているときには、私たちはものごとがコントロールできにくくなることを予測することができます。天王星と冥王星がセクスタイルやトライン、第9ハーモニックのアスペクトになっているときには、動乱や無秩序が減ることが期待できます。上の表から、全体的にこれらの期待を確認することができます。天王星と冥王星は1913年〜1914年の第一次世界大戦の始まり、1938〜1941年の第二次世界大戦の始まり、そして、2002年〜2005年のアメリカにより開始されたイラク戦争や大きなテロリズムとの戦争(これは2001年9月11日のニューヨーク市のツインタワービルの破壊がきっかけに始まった)などの時期には第5ハーモニックのアスペクトになっていました。

 天王星と冥王星は2006年から2010年まで2/9のアスペクトになり、海王星と冥王星はこの時期もなお1/7のアスペクトでありつづけていることから、私たちは2006〜2010年の間は、中東の文化のより平和的で調和的で建設的な再建や異文化間での文化的な影響の分かち合いなどが見られることを期待できるでしょう。望ましくは、2006〜2010年の期間は、伝統的な文化や古代の知恵、教義、尊厳、尊敬が、現在よりも早く世界に広がっていくことでしょう。

 この記事におけるデータの計算は、ケプラーソフトウエアによって行われ、私はその開発者のうちのひとりです。現代的なコンピューターソフトウエアの力を借り、私たちは歴史上これまでにできなかったやり方で情報を構築し、分析することができました。このコンピューターの力がなければ、私はこの記事に必要な情報を適切な時間内に構築し、分析することはできなかったかもしれません。

 この記事があなたの興味を駆り立て、「マイナーアスペクト」がまったくマイナーなものではなく、実際には、より詳細で正確な占星術的な解釈を可能にする鍵になるだろうことをうまく示すことができていればよいと思います。

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